26.02.28 - 「レビュー」NVIDIA DGX Spark: SuperAIのパワーを、小型・ローカルで

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記者
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NVIDIA DGX Spark:SuperAIのパワーを、小型・ローカルで

今回アスク様よりMSI製NVIDIA DGX Sparkを貸していただき、弊社のAI生成ツールといろんなテストをしてみました。

■NVIDIA DGX Sparkとは?

ソース:https://www.nvidia.com/ja-jp/products/workstations/dgx-spark/

NVIDIA DGX Sparkは、2025年にNVIDIAが正式リリースしたコンパクトデスクトップAIスーパーコンピューターです。Grace Blackwellアーキテクチャを採用した「GB10 Superchip」を搭載し、わずか150mm × 150mm × 50.5mmのボディの中に、データセンター級のAI演算能力を凝縮しています。

🔑  ポイント:NVIDIA DGX Sparkは「デスクの上に置けるAIスーパーコンピューター」であり、従来は大規模データセンターでしか実現できなかったAI処理能力を、個人・企業のオフィスに持ち込めるようにしたデバイスです。

メモリアーキテクチャで、128 GBのユニファイドメモリ(GPU・CPUが同一メモリ空間を共有)により、最大2000億パラメータのAIモデルをローカルで推論実行できます。さらに、ConnectX-7ネットワークを使って2台のNVIDIA DGX Sparkを接続すれば、最大4050億パラメータのモデルにも対応します。

主なユースケース
  • AIモデルのプロトタイピング・テスト・検証
  • 最大700億パラメータまでのファインチューニング
  • 高解像度画像・動画のAI生成・処理(ComfyUIなど)
  • エッジAIアプリ開発(Isaac、Metropolis、Holoscanフレームワーク)
  • データサイエンス・機械学習ワークフロー


※MetAI実務での活用例:クライアントオフィスへの持ち込みデモ


弊社(合同会社MetAI)の実務では、NVIDIA DGX Sparkの最大のメリットの一つとして「クライアントオフィスへの持ち込みデモ」が挙げられます。クライアントから「自社オフィスでMetAIのAIツールを実際に試してみたい」というご要望をよくいただきますが、従来のデスクトップワークステーションは本体が大きく重いため、持ち運びが現実的ではありませんでした。

NVIDIA DGX Sparkは、重量わずか1.2kg・150mm角のコンパクトボディのため、バッグに入れてそのままクライアント先へ持参できます。現地での設定も短時間で完了し、すぐにAIデモ・テストを開始できるため、商談・提案の場でリアルタイムにAIの実力を体感していただける点がクライアントに非常に好評です。

■ テスト環境

今回は、弊社のオフィス環境であるMSI製NVIDIA DGX SparkでComfyUIを使ったAIクリエイティブワークフローの処理速度・リソース消費をテストしてみた。

■ComfyUIインストール方法

MSI製NVIDIA DGX SparkへのComfyUIインストールは、通常のLinux環境と異なり、Blackwellアーキテクチャ向けの特別な手順が必要です。公式サイトやサポートには解決策が見当たらなかったため、AIの協力を得ながら以下の方法を確立しました。同様の問題を抱える方の参考になれば幸いです。

0. コマンドプロンプトを開く

コマンドプロンプトで事前インストールしたComfyUIフォルダーに移動

1. システム確認

nvidia-smi 
nvcc --version

2. Python仮想環境の作成(Python 3.12+推奨)

python3 -m venv comfy_blackwell
source comfy_blackwell/bin/activate
pip install --upgrade pip setuptools wheel

3. PyTorchインストール(Blackwell最適化版)

pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu130

4. ComfyUIとdependenciesのインストール

git clone https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI.git
cd ComfyUI
pip install -r requirements.txt

5. GB10最適化オプションで起動
NVIDIA DGX Sparkには--highvramと--fp8_e4m3fn-text-encフラグの指定が重要です:

python main.py --listen 0.0.0.0 --highvram --fp8_e4m3fn-text-enc

💡  起動後、モデル(Checkpoints、LoRA等)とワークフローを通常通りインストールしてください。ComfyUI Managerを使うと効率的です。

■テスト開始

以下のベンチマークはすべてComfyUI上で実施しました。「1回目」はモデルのCold Start(初期ロード込み)、「2回目」はウォームアップ後の実行時間です。

📊  重要:DGX SparkはUnified Memory(CPU-GPU共有)のため、VRAMは常に0%表示されます。その代わりRAMとGPU使用率で処理状況を確認します。

①Lighting Migration(ライティング変更)

ウォームアップ後は43秒と安定した処理速度を発揮。GPU使用率88%、温度51°Cと安定した動作を確認できました。ただし温度は約20°C低く、静音・省電力な動作が確認できます。

バックライト

マルチライト

左側から照明

② Upscale 20x(832×1248 → 16,640×24,960)

20倍アップスケール(最終解像度:16,640 × 24,960px)という超高解像度処理でもWarm実行で約85秒。128GBのユニファイドメモリのおかげでVRAM不足によるOOMエラーなしに処理できます。

③ 画像リアル化(img2img高品質化)

④ ポーズ・カメラ変更

⑤ ControlNetポーズ変更

■ 動画AI生成テスト
①480P → 4K アップスケール(動画)

動画リンク:https://drive.google.com/file/d/1Zq-hvuYf14rDSDEDM_riWyubBWZiYvvy/view?usp=sharing

動画の4Kアップスケールは処理量が膨大なため時間がかかりますが、128GBメモリにより長尺動画でもVRAM不足でのクラッシュが発生しません。放送・映像制作での実用性が高いです。

②白黒 → カラー化(17秒動画)

動画リンク:https://drive.google.com/file/d/1Rb7h_-6546kpukRC16HlQ3hqbyNZ1BL1/view?usp=sharing

17秒動画のカラー化を約40秒で処理。放送局向け映像復元・デジタルアーカイブの自動カラー化などに実用的なスピードです。

■ 総評
MSI製NVIDIA DGX Sparkは「コンパクトなのにデータセンター級」という点で、AIクリエイティブワークフローに新しい可能性をもたらします。Cold Startの遅さはあるものの、Warm実行時は安定した高速処理を発揮し、何よりVRAM制約がないことで超高解像度・長尺動画処理において従来のGPUでは不可能だった作業が実現できます。
NVIDIA DGX Sparkのメリット
  • 128 GBユニファイドメモリによりVRAM不足(OOMエラー)が発生しない
  • 温度が低く(50〖65°C)、動作音も非常に静か(35dB)で長時間稼働に最適
  • 1.2kg・240Wの省スペース・省電力設計でオフィスへの導入が容易
  • バッグに入れてクライアント先へ持参でき、現地でのAIデモがすぐに開始できる
  • 2台接続で最大04050億パラメータモデルまでスケールアウト可能
  • NVIDIAの完全なAIソフトウェアスタックがプリインストール済み

注意点

  • Cold Start(初回モデルロード)が長いため、複数モデル運用にはプリロード設計が必要
  • Blackwell向けComfyUIのセットアップが複雑で、CUDA 13.0専用ビルドが必要
  • 動画AI生成は処理量が多く、長尺になるほど時間がかかる

MetAI LLCでは今後もNVIDIA DGX Sparkを使ったAIクリエイティブワークフローのテストを継続し、放送局・企業向けAIソリューションへの実装を推進していきます。